会報:綾部の文化財77号                     HP綾部の文化財
 湖東三山 国宝の寺 「西明寺」  二号車 味方町 井田眞理子さん

国宝・西明寺本堂 2号車 

 朝よりまぶしい日差しの照る六月五日、春の研修旅行「湖東三山の国宝・文化財の寺を訪ねて」に参加しました。

 京都縦貫道が大山崎インターまで伸びたお蔭でかなり乗車時間が短縮され、予定より一時間早く到着。ボランテアガイドさんに急遽早くお願いするという嬉しい誤算もありました。

 紅葉の名所として大変有名で秋には大混雑となるため新緑のこの季節に実施されましたが大正解。何処に行っても私たち一行だけの貸切状態で、初夏の風に揺れ動く楓青葉の下をゆっくりと散策することが出来ました。

 天台宗「西明寺」の本堂は国宝。飛騨の匠が釘一本も使わず建立したそうで入母屋造り、桧皮葺で屋根の曲線が宮殿建築を思わせる美しい建物です。本尊は薬師如来。秘仏で拝見できませんが薬師さんが従えていたという日光・月光菩薩に十二神将が須弥壇の上に安置されている姿は圧巻です。いずれも鎌倉時代の作だそうです。

 なかでも頭に十二支の動物を乗せた十二神将はユーモラスで親しみやすく自分の生まれた年の干支(えと)の十二神将に願いを託す参拝者も多く「えと寺」としても有名だそうです。信長の比叡山、延暦寺の焼き討ちの時、ここも攻められましたが僧侶の機転で本堂は残り、仏像も無事だったそうで、後陣にもたくさんの仏像がならべられていました。

 「近江は仏像の宝庫」というのもうなずけます。今回は時間の都合で見られませんでしたが、三重の塔も国宝で、内部には極彩色で描かれた法華経の極楽世界の壁画があるとの事。ここを訪れた五木寛之が三重の塔は日本の3に入ると絶賛されたことや映画「蝉しぐれ」のロケ地になったことなどをボランテイアガイドさんから聞き、是非もう一度訪れてみたいと思いました。

 また、この寺のご住職から建造物や文化財の鑑賞の仕方について三つの要点を教わりました。まずは少し離れた場所から全体の姿をみる。二番目は近くからゆっくりと細部をみる。三番目は他のお寺と混同しない様メモをとることだそうです。私には大変参考になるお話でした。

 手入れの行き届いた庭は国指定の「蓬莱庭」で薬師如来、日光、月光の三尊仏を表現した立石や十二神将をあらわす石組みなど本堂と一体となった感じがします。その石組みに瑞々しい新緑とさつきの花がほつほつと色を添え、タツナミ草の紫の小花が愛らしく心を和ませてくれます。

 梅雨期とは思えない爽やかな天気に恵まれて、木立の下に広がる苔が、木漏れ日に微妙に変化するのも楽しみながら、なだらかな山門をあとにしました。